○上島町火災調査規程
平成16年10月1日
消防本部訓令第9号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 火災の調査(第4条―第14条)
第3章 資料提出等(第15条―第19条)
第4章 調査報告等(第20条―第24条)
第5章 補則(第25条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 本調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し、活用するための質問、現場見分、鑑識、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。
(3) 鑑識 火災の原因及び損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。
(4) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について、科学技術的手法により、必要な試験及び実験を行い、その結果をもとに火災原因判定のための資料を得ることをいう。
(5) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。
(6) 調査指揮者 火災調査に従事する最上席者をいう。
(7) 関係者等 法第2条第4項に定める関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。
(8) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいい、貯蔵槽その他これに類する施設を除く。
(9) 建物の収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物のほか、バルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。
(10) 林野 次のものをいう。
ア 森林 木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹と、これらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地をいう。ただし、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
イ 原野 雑草、灌木類が自然に生育している土地で人が利用しないものをいう。
ウ 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(11) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製作された用具であって自動車、汽車、電車、原動機付自転車及び車両によってけん引されるリヤカー、荷車等の軽車両をいう。
(12) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(13) 航空機 人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。
(14) 発火源 出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。
(15) 経過 出火に関係した現象、状態又は行為をいう。
(16) 着火物 発火源によって最初に着火したものをいう。
(17) 小規模火災 林野その他火災で焼損面積が1,000平方メートル未満、かつ、火災原因が明らかで損害の発生しないもののうち社会的影響のないもの
第2章 火災の調査
(調査の区分)
第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 避難の状況
(6) 消防用設備等の状況
(7) 死傷者の状況
(8) 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3 火災損害調査は、次の事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 火災による死傷者
(調査責任)
第5条 消防長(署長)は、管轄区域内の火災調査の責任を有する。
(体制の確立)
第6条 消防長(署長)は、調査に必要な人員及び調査器材を整備し調査体制を確立しておかなければならない。
2 消防長(署長)は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認めるときは、調査本部を設置することができる。
(調査の実施)
第7条 消防長(署長)は、管轄区域内に火災を覚知したときは、速やかに調査に着手しなければならない。
2 消防長(署長)は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。
3 消防長(署長)は、必要があると認めるときは、前項の調査員以外の職員を調査に協力(従事)させるものとする。
(調査員の心得)
第8条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるよう努めること。
(2) 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由及び権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
(3) 調査員は、関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(4) 警察機関その他の関係機関とは、密接な連絡をとり相互に協力して調査を進めること。
(調査の原則)
第9条 調査は、事実の確定を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。
(火災現場の見分)
第10条 消防職員は、火災現場の出場途上及び消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路その他関係者の言動等を見分したときは、調査指揮者に報告しなければならない。
2 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合において、原則として関係者の立会いのもとに行う。
3 調査員は、関係者等に対して、努めて調査内容等について説明を行うとともに、調査の開始と終了を明確にしなければならない。
4 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。
5 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
(現場の保存)
第11条 調査指揮者は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
2 火災に出動した職員は、出動途上及び消防活動をするに当たって、延焼経路その他の火災状況の見分に努めるとともに、現場の保存に配意しなければならない。
(死者が生じている場合の扱い)
第12条 調査指揮者は、火災現場において死者を発見した場合は、消防長(署長)に報告するとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 消防長(署長)は、前項の規定による報告を受けた場合には、所轄警察署長に通報しなければならない。
(質問)
第13条 調査員は、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
2 前項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、質問調書にその内容を記録しなければならない。この場合において、記録した内容を当該関係者に読み聞かせるなどし、記載事項に誤りがないことを確認し、質問調書に署名及び押印を得るものとする。ただし、やむを得ない理由があるときは、この限りでない。
(少年等に対する質問等)
第14条 少年(18歳未満の者をいう。)、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者並びに精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、前条に定める質問を行う場合には、立会人を置いて行うものとする。ただし、立会人を置くことで、真実の供述を得られないと判断されるときは、この限りでない。
2 前項の質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもって当たらなくてはならない。
3 少年等は、現場見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情その他諸般の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。
第3章 資料提出等
(関係機関への照会)
第15条 消防長(署長)は、火災調査を行うために必要があると認めるときは、法第32条第2項の規定に基づき、関係ある官公署に対し必要な事項の照会を行うものとする。この場合において、照会は、火災調査事項照会書(様式第8号)により行うものとする。
(資料の提出)
第16条 消防長(署長)は、火災調査を行うために必要があると認めるときは、関係のある者に対し、資料の任意提出を求めることができる。
2 特に必要である場合は、り災物件の関係者に対し資料提出命令書(様式第9号)により提出を命ずることができる。この場合、提出を依頼した資料のうち提出者が所有権を放棄しないものについては、提出者の承諾を得ておかなければならない。
4 資料提出者が、資料の返還を求めるときは、資料保管書と引き替えに、返還しなければならない。
(資料の送付)
第17条 消防長(署長)は、保管する資料について、捜査機関から捜査のため資料送付の要請があったときは、所有者の承諾を求め資料の送付ができる。
(鑑定)
第18条 火災原因調査に必要があるときは、公的機関に試験(鑑定)依頼書(様式第12号)により依頼することができる。
(試験)
第19条 調査員は、提出された資料について試験を行ったときは、その結果を試験結果書(様式第13号)に記載しておかなければならない。
第4章 調査報告等
(調査報告)
第20条 調査員は、調査結果を火災調査報告書により消防長(署長)に報告しなければならない。この場合、次の書類を添付するものとする。
(1) 火災調査書(様式第1号)
(2) 火災原因判定書(様式第2号)
(3) 出火出場時における見分調書(様式第3号)
(4) 実況見分調書(様式第4号)
(5) 質問調書(様式第5号)
(6) 損害調査書(様式第6号~様式第6号の7)
(7) 防火管理等調査書(様式第7号)
(8) 火災現場写真及び復元図
(9) 鑑定書、火災調査関係事項照会書に対する回答書
(10) 前各号に掲げるもののほか、火災原因の判定及び損害額の認定の根拠となった資料等
3 調査書類には、調査の内容を明らかにするため、必要な図面を作成し、添付するものとする。
4 第1項第9号の鑑定書及び照会書に対する回答書には、作成者又は提出者の署名及び提出年月日が記載してなければならない。
(原因の判定)
第21条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討し、行うものとし、物的調査及び人的調査による資料により裏付けるものとする。
(調査結果の報告)
第22条 調査指揮者は、現場調査の終了後、速やかに当該調査の結果を消防長(署長)に報告しなければならない。
(火災損害調査)
第23条 火災損害調査は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。
3 損害額の算定基準は、火災報告取扱要領の全部改正について(平成6年消防災第100号)及び耐火建物の損害額算出基準(昭和44年消防総第429号)に基づき算出しなければならない。
(り災証明)
第24条 り災の証明を受けようとするものは、り災証明願(様式第15号)を消防長に提出するものとする。
第5章 補則
(調査書の保存)
第25条 調査書は、上島町文書取扱規程(平成16年上島町訓令第5号)に基づき、保存するものとする。
附則
(施行期日)
1 この規程は、平成16年10月1日から施行する。
附則(平成23年3月25日消防本部訓令第4号)
この規程は、平成23年3月25日から施行する。
附則(平成24年10月30日消防本部訓令第6号)
この規程は、平成24年10月30日から施行する。
附則(平成28年4月1日消防本部訓令第1号)
(施行期日)
1 この訓令は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日(平成28年4月1日)から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の際、第1条の規定による改正前の上島町火災予防査察等に関する規程及び第2条の規定による改正前の上島町火災調査規程に規定する様式による用紙で、現に残存するものは、当分の間、所要の修正を加え、なお使用することができる。