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「弓削島荘遺跡」の国史跡指定に係る文化審議会の答申について

印刷用ページを表示する掲載日:2021年6月18日更新ページID:0019164
 国の文化審議会は、令和3年6月18日(金)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、愛媛県越智郡上島町に所在の「弓削島荘遺跡(ゆげじまのしょういせき)」を史跡に指定するよう文部科学大臣に答申しました。
 この答申を受けて行われる官報告示を経て、「弓削島荘遺跡」は正式に上島町内で初めての国指定史跡となる予定です。
弓削島荘遺跡全景

弓削島荘遺跡の概要

弓削島荘遺跡【愛媛県越智郡上島町】

 弓削島荘遺跡は、瀬戸内海の芸予諸島の東端に位置する弓削島とその周辺海域からなる荘園遺跡です。荘園は、平安時代後期から室町時代まで存続し、鎌倉時代の延応元年(1239)からは東寺(教王護国寺、京都市)領となりました。東寺に伝えられた「東寺百合文書」等に関係史料が多く残り、塩を貢納した「塩の荘園」として日本史上よく知られています。
弓削島全景
弓削島全景
伊予国弓削島荘地頭領家相分差図
伊予国弓削島荘地頭領家相分差図(「東寺百合文書」と函153)
(京都府立京都学・歴彩館 東寺百合文書WEBから)
 上島町教育委員会が平成28年度から令和2年度にかけて実施した弓削島荘総合調査に基づき、荘園に関わる東泉寺、高浜八幡神社、願成寺、弓削神社、定光寺、揚浜式塩田であったと考えられる大田林の塩浜、及び弓削島の北東に位置し漁業が行われた百貫島とその周辺海域が国指定史跡に指定される予定です。文書にみられる塩浜、寺社などの荘園時代の痕跡が今も遺存しており、中世の荘園の具体的様相を知る上で稀有な事例であるとともに、瀬戸内海における中世の製塩業の実態や、瀬戸内海の海上交通を知る上でも重要な遺跡です。

構成遺跡

1 大田林の塩浜(おおたなばしのしおはま)

〇 浜床が確認された中世の揚浜式塩田跡
大田林の塩浜

2 東泉寺(とうせんじ)  

〇 荘園時代に「薬師寺」と呼ばれた鯨方の中心寺院
東泉寺

3 高浜八幡神社(たかはまはちまんじんじゃ)

〇 揚浜式塩田跡が遺る「八幡宮」の後身
高浜八幡神社

4 願成寺(がんじょうじ)

〇 荘園時代からの寺院名を継承する大串方の中心寺院
願成寺

5 弓削神社(ゆげじんじゃ)

〇 荘内の神祇信仰の中心的役割を果たした「浜途明神」「浜戸宮」の後身
弓削神社

6 定光寺(じょうこうじ)

〇 重要文化財の観音堂が遺る荘園時代末期の寺院
定光寺

7 百貫島(ひゃっかんじま)とその周辺海域

〇 下地中分絵図にみられる漁業の島
百貫島とその周辺海域

町長のコメント

 この度、国の文化審議会から文部科学大臣に対し、「弓削島荘遺跡」を国の史跡に指定するよう答申がなされました。
 上島町においては、弓削島荘遺跡が初めての国指定史跡となります。今回の答申により、町民の皆様、特に子どもたちが本町の歴史と文化に一層の誇りを持ち、この貴重な遺跡が未来に向かって輝き続けるよう力をつくしてまいります。
 結びに、これまでの史跡指定に向けた取り組みの中で、ご尽力とご協力をいただきました文化庁、愛媛県教育委員会、弓削島荘総合調査事業指導委員会委員、地域の方々をはじめ、多くの皆様に深く感謝申し上げます。

 令和3年6月18日          上島町長 上村 俊之 

弓削島荘総合調査事業指導委員会委員長のコメント

 多くの方々の協力を得て、長い時間をかけて調査した結果が認められて大変うれしく思います。
 荘園遺跡というのは地味な遺跡で、権力者のつくった大きな建物や構造物はありませんが、かわりに人々の生活の跡が残されています。特に弓削島荘は、中世の人々が塩を生産し、年貢として納めた「塩の荘園」として知られています。今回の指定が、地域の歴史に関心のある人々が現地に足を運び、「塩の荘園」に生きた人々の生活の跡を見ていただくきっかけになれば、さらにうれしいことです。

 令和3年6月18日          弓削島荘総合調査事業指導委員会委員長 山内 譲

国指定史跡について

 国指定史跡は、我が国の歴史の正しい理解のために欠くことができず、かつ、その遺跡の規模、遺構、出土遺物等において、学術上価値のあるものであり、文部科学大臣によって指定されます。弓削島荘遺跡は、中世の荘園遺跡として国指定史跡に指定される予定です。骨寺村荘園遺跡(岩手県一関市)、新田荘遺跡(群馬県太田市)、日根荘遺跡(大阪府泉佐野市)などは、国指定史跡として著名な荘園遺跡です。
 国指定史跡となった遺跡は、今後将来にわたって守るべき大切な遺跡として文化財保護法に基づいて保存していくことが必要となり、現状の変更を行うためには国の許可が必要となります。

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