令和5年度 3月定例議会 町長行政報告
令和5年度 3月定例議会 町長行政報告
みなさん おはようございます。
まず初めに、1月1日に発生した能登半島地震において被災した皆様方に心からのお見舞いを申し上げます。
ご案内のように、今回の震災対応も息の長い支援が必要となり、救助・救援から復旧・復興へと一歩ずつ確実な歩みを進めなければなりません。
上島町は、発生直後から能登半島地震支援対策準備室を設置し、本部に移行してからも情報収集を続けています。また、愛媛県との協議により、現在まで3度にわたり介護職員や救急隊員・行政職員を派遣しており、今後も土木専門員など、被災地への継続した人的支援を行って参ります。
少ない職員の中から最大限の派遣を実施している事から、町民の皆様方には何かと御不便をおかけいたしますが、被災地の皆様と共にこの困難を乗り越えるためにも、今後とも変わらぬ御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
また、町内各所に義援金募金箱を設置し、現時点でも多くの善意が集まっています。この義援金は日本赤十字社に送金することなっていますが、今でも避難生活を続けている多くの被災者がいらっしゃることから、募金を継続してまいりますので、皆様からの重ねてのご支援も併せてお願い致します。
本日は令和6年第1回定例議会を招集いたしましたところ、全員の出席をいただき誠にありがとうございます。行政報告として昨年12月定例議会後の主な事項のみを報告させていただきます。
12月25日及び26日に、離島振興関係予算確保に関する要望運動を行いました。これは10月の活動内容と同様、令和6年度国家予算の編成にあたり、離島の実情と離島の果たす国家的国民的役割を十分に賢察して頂き、関係事業予算の確保につき特段の配慮を求めたものです。
1月4日から5日にかけて、県庁や地方局・支局並びに四国地方整備局・運輸局・財政局等に挨拶回りを行い、新年1年間の要望や協力要請とともに、今後の上島行政に活かせる新たな情報を頂いてまいりました。
1月9日の全体課長会においては、新年度の重要施策を確認しました。その主な内容は、◎地場産業の育成 ◎高齢者対策 ◎少子化対策、子育て支援であり、この3点は現在進行形の施策にも位置付けておりますが、更なる強化が必要であると考えています。
もう一点は◎交流と移住、観光施策です。
観光庁は、今後の本格的なインバウンドの回復を見据え、訪日旅行における消費単価が高い傾向にある、高付加価値旅行者の地方への誘客を促進することとし、全国11の地域を「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりモデル観光地」として選定しました。
その中に、上島町の「せとうちエリア」があります。住み慣れている町民の皆さんにはピンとこないかもしれませんが、今、旅行客は地方に、「瀬戸内海」に注目しています。
観光庁が選定した様に、上島町には外国人観光客の期待にも応えられるだけの魅力があります。消費額増加、地方への誘客をより重視するという観点から選定された「モデル観光地としての上島町」の将来を見据え、今後はそのポテンシャルのプロモーションに更に力を傾注するなど、観光や交流人口の増加に向け、長期的な政策を進めて参ります。
2月19日には愛媛県市町連携推進会議に出席し、中村知事をはじめ県幹部出席の元、チーム愛媛としての議論が交わされました。特にデジタル人材の育成については、市町自らが積極的に対応しなければならない課題であることを認識しました。
同日の愛媛県町村会総会においては「ふるさと納税」についての講話があり、自主財源の乏しい上島町にとって、「ふるさと納税」は積極的に取り組まなければならない重要な施策であることを再確認しました。
その「ふるさと納税」対応については、上島町からの返礼品充実や特産品開発など、町民の皆様のご理解とご協力が必要ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
さて、高校の入学者の決定は、推薦入試と一般入試がありますが、愛媛県教育委員会は1月29日、2024年度(令和6年度)県立高等学校学科別推薦入学者選抜の志願状況を公表しました。
その内、普通科の定員に対する推薦入学志願者数が高い高校は、上位から長浜高校58.3%(志願倍率3.89倍)、弓削高校52.5%(志願倍率3.50倍)、今治西本校31.1%(志願倍率2.42倍)の順になっています。
昨年に公表された、弓削高校の推薦入学志願率が22.5%でしたので、今年の数字52.5%は、全国募集による町外からの志願者が大幅に増加したことを物語っています。もちろんその大きな要因は、離島留学生を対象とした「ゆめしま寮」の設置であることは言うまでもありません。
ゆめしま寮の建設費の財源は、ほとんどが国や県のお金を活用している事から、上島町からの持ち出しはわずかであり、今後の運営費も国の離島予算からの支援があります。
また、建設地にあった地震に耐えられない公民館は、約4,500万円の解体費用を、本来であれば町の財源で全てをまかなうこと、すなわち上島町民が全額負担しなければならない施設でした。
しかし、跡地活用として「ゆめしま寮」を建設したことにより、解体費用の約70%を国の予算で対応できるようにしましたので、このことからも効率的な予算運営ができたものと考えています。
次に、上島町の令和6年度の当初予算についてですが、その編成に当たっては、物価高騰の影響が長期化している状況ではありますが、将来的な人口減少対策を進めながら、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やこども・子育て支援の取組みなど、新たな行政課題への対応や将来に渡って持続可能なまちづくりに向けた取組みを行う必要があります。
これらを踏まえ、上島町の一般会計当初予算の総額は73億3,200万円と、前年度に比較して9,300万円、1.3%の増となりました。
特別会計と令和6年度から企業会計に移行する下水道事業及び簡易水道事業も含めた町全体の予算総額については、115億 2,900万円となっています。
歳入では、歳入総額の約5割を占める地方交付税が、国の地方財政対策及び前年度実績から33億2,600万円で前年度比 1億400万円、3.2%増と見込みました。
一方歳出では、人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費が、30億5,200万円で、前年度比1億6,000万円、5.5%の増となりました。これは、人事院勧告に伴う給与改定や会計年度任用職員への勤勉手当の支給が影響したものです。
新規及び重点事業としては、
◎子育て支援策として、22歳になる大学生等も対象に拡充した『子育て支援医療費助成事業』
◎合併20周年の節目を、町民の皆さんとお祝いする『合併20周年記念事業』
◎人口減少対策として、愛媛県と連携して各種事業に取り組む『えひめ人口減少対策総合交付金事業』
◎上島町の主要産業である海苔養殖業の振興を図るための『水産業強化支援事業』
◎魚島小中学校の存続、及び地域の活性化を図るための『魚島 離島留学事業』
◎上島町唯一の県立高等学校である弓削高等学校の振興に向け、県外からの留学生を確保するための『弓削高等学校学生寮運営事業』などを提案しています。
このように、上島町が将来にわたって持続可能な行政運営を行っていくため、今後も更なる行財政改革を推進するとともに、新たな財源の確保、事業の見直し、公共施設の統廃合などに取り組んでいく必要があると考えています。
結びに、2月4日、サッカーJ1の名古屋グランパスは、所属する高校生プロサッカー選手のアルゼンチン移籍を発表しました。18歳で日本代表のトレーニングパートナーの一員でもある高校生は「自分の魂をアルゼンチンでも示し、命懸けでサッカーをしてきます。これからも応援していただけたら嬉しいです。行ってきます!」とメッセージを発信しています。
この高校生は、上島町出身であると言っても過言ではない選手です。
若き18歳が世界に挑戦している姿は、私が忘れかけた情熱を呼び起こしてくれたような気がしています
本日は、条例案12件、補正予算案12件、当初予算案14件、人事案2件、計40件、の議案を上程しております。
個々の議案につきましてはそれぞれの時点でご説明させていただきますので、よろしくご審議の上、適正な決定を賜りますようお願い申し上げます。
上島町長 上村俊之