令和4年度 9月定例議会 町長行政報告
令和4年度 9月定例議会 町長行政報告
みなさん おはようございます。
「今まで経験しなかった猛暑」という言葉を今年も繰り返すことになり、異常気象が大きな話題となる時候が続いています。
記録的大雨により各地で洪水や土砂災害が発生しており、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げ、1日も早い復興をお祈りいたします。
はじめに、9月4日にご逝去された寺下議員に謹んで哀悼の意を表します。町民の目線で行動されるその姿は、常に我々の指針でした。その一生を捧げられた町政を更に発展させることを心からお誓いし、政治に携わるものとして恥ずかしくないよう歩んでまいりますので、天空より私どもの行く手をお見守り下さい。
本日は令和4年第3回定例議会を招集いたしましたところ、おおかたの出席をいただき誠にありがとうございます。行政報告として6月定例議会後の主な事項のみを報告させていただきます。
まず、上島町のコロナ感染状況ですが、7月から8月にかけて初めてのクラスターが発生するなど、今までにない感染力の強さに違和感を覚えています。陽性者はもちろん感染関係者は日常の経済活動などに制約を受け、不便な生活に困惑されていると思いますが、現オミクロン株の重症化率の低さのみが一つの救いです。
町民の皆様のご協力により、久しぶりに華やいだ「ふるさと夜市」などのイベント後も感染拡大はなく、上島町は県下でも10万人当たりの発生者数を最も少なく抑えられています。
ただ夏休み帰省等、久しぶりの歓談等が原因か継続的に陽性者が発生しておりますので、町民の皆様は今後も正しい情報でコロナに対応し、収束に向けて基本的な感染回避行動をとっていただきますようお願い致します。
7月8日に発生した安倍元総理襲撃による急逝は、日本中に衝撃が走りました。暴力による言論弾圧は民主主義を否定する愚挙であり、思想の違いはあれ、日本国民のために全力を尽くした政治家には敬意を払うべきではないでしょうか。
自由で平和な日本での謂れの無い殺人事件に、無念な気持ちを持ち続けているのは私だけではないと思います。その中でも、2日後投票の参議院選挙においては、上島町の投票率が県下で最高位となり、国政に関心を持ち続け、日本の将来を決める選挙に積極的に参加していただいている町民の皆様に、心から感謝申し上げます。
7月12日には愛媛県教育委員会から、県立学校振興計画案が公表されました。これは全日制高校を2027年度までに、55校から44校に集約するという内容であり、当初の条件では弓削高校にとって募集停止が必然で危機的な状況でした。しかし、弓削高校在校生やPTA関係者のご尽力、弓削高校と上島町の取り組みや提案に対する愛媛県教育委員会のご理解により、昨年8月の中間報告で示された募集停止の条件が「入学生が3年連続で30人以下となった場合」から、今回の公表案では、弓削高校と中島分校のみは「20人未満」となり、弓削高校存続の可能性が大きくなっています。
現在、上島町では弓削高校の10年後を見据え、給食の提供をはじめ様々な支援に取り組んでいます。今回の愛媛県教育委員会のご高配に甘えることなく、町外からの離島留学生を増やすための、寮の整備計画も進めていますので、弓削高校の魅力化拡大に向けて、町民の皆様のご協力とご理解をお願い申し上げます。
7月20日から21日にかけて、国の来年度予算編成に向けた「上島町重要施策要望」のため上京しました。
その内容は
- 離島航路の指定緩和について
- 離島医療の充実について
- 離島における燃油等の格差是正について
- 歴史文化遺産の調査と保存・活用について
- 島内道路における道路構造物等整備について
- 移住・定住促進及び関係人口創出への支援について
- 公営住宅の入居基準の緩和について
- 離島留学制度への支援について
- 水産業振興への支援について
- 道の駅整備について
など、10点です。
公営住宅の入居基準の緩和については、翌日には御回答をいただき、国の対応の速さに職員共々驚くことになりました。
各省庁が財務省に予算要求する際のルールとなる今回の概算要求基準は、「新しい資本主義」関連政策に特別枠を設け、「人」「科学技術」「スタートアップ」「グリーン(脱炭素)・デジタル」の4分野に重点投資することが特徴です。
上島町も継続施策はもちろん、「新しい資本主義」の目的に沿った、上島町らしい新たな政策に取り組んでまいります。
その中でも、以前の質問でお答えし報告もさせていただいた「道の駅整備」については重要な施策として捉えています。道の駅の登録要件は「休憩機能」「情報発信機能」「地域連携機能」の3つの機能が求められており、近年は災害時の防災拠点としての「防災機能」を要することも加えて求められるようになっています。
道の駅整備の方法としては、道路管理者と市町村等で整備する「一体型」と、市町村で全て整備をする「単独型」の2種類があります。国からの「道の駅」支援メニューは、国土交通省14事業、内閣府2事業、内閣府と厚生労働省の共同事業が1事業、総務省3事業、農林水産省6事業、経済産業省2事業、環境省1事業となっており、様々な分野での支援が受けられるようになっています。具体的な支援対象としては、駐車場・トイレ・子育て関連施設・休憩施設・交流施設・体験施設・特産品直売所・防災設備など40項目以上あります。
特に、「子育て支援」「観光窓口」「インバウンド観光促進」「自動運転サービス」などは、上島町の課題に対し活用が可能であり、中でも国においては道の駅を広域的な防災拠点とするため、2025年までに道の駅の更なる機能強化を目指した「防災道の駅」の認定制度を推し進めているところです。
近年、瀬戸内海は国内外から注目を集めていますが、2025年の大阪万博をきっかけに、更なるインバウンドのお客様が新たな観光地として足を運んでいただける地域であると考えています。もちろん、働き方改革などによるワーケーションの場としても、上島町は最も環境が整っていることは言うまでもありません。
それは一過性のものではなく、ヨーロッパの例を見ても本物の世界の休暇場所、働く場所として継続されていきますので、今から準備を整えることが上島町の将来展望にとって重要であると考えています。
7月26日には、地方交付税について愛媛県より額の決定通知がありました。
令和4年度の上島町の普通交付税は32億5,504万1千円であり、令和3年度が34億8,626万8千円でしたので、△2億3,122万7千円、△6.6%の減額となっています。愛媛県内の全市町が減額という状況ですが上島町は5番目に高い減額率です。
その根拠は、主に普通交付税算定経費の一つである地域振興費のうち、算出の根拠数値である人口の補正に用いる係数の減であり、岩城橋開通に伴い岩城島が本庁舎のある弓削島と陸続きになったことで、島しょ数及び島しょ人口が減少し、減額されたものです。
岩城橋が開通したことにより、町民の利便性の向上や観光客の増加等による町内消費の増、ひいては、町民税等の増収などプラス面も多々ありますが、このように普通交付税が減額になったということは、上島町として必要としなくなった経費等を削減する必要があります。
一例として
(1)本庁方式への移行を含む、組織改編等による職員数の削減
(2)公共施設の統廃合を含む、施設の維持管理費や経費の削減。
(3)特別会計等の使用料の見直しによる繰出金の削減
(4)交付税算入率の高い起債の活用や起債借入の抑制による公債費の削減
などが挙げられます。
また、後年度交付税として全額算入される、臨時財政対策債発行可能額につきましても、同様に減額となっています。このような上島町の状況ですので、将来的には町民の皆様に痛みを伴う施策の提案もしなければならない場面も出てくるかもしれません。その際は、議会や町民の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
さて、今回上程している一般会計補正予算についてですが、新型コロナウイルスワクチン接種事業、及び県・市町連携の消費活性化支援事業による消費喚起策等を計上しております。
主な内容として、生活応援商品券事業3,507万3千円は、全町民に1人当たり5千円分の商品券を配布するもので、新型コロナウイルスの影響が続く中、原油価格や物価の高騰による家計負担の軽減を図るとともに、町内の事業者を支援するものです。また、かみじま滞在型観光応援割事業1,504万円についても、消費活性化支援事業補助金を受けて予算を増額するものです。
結びに、8月24日でウクライナへの侵略発生から半年が経過しました。3月定例議会での行政報告において、「ウクライナに関心を持ち続けなければならない」との思いを町民の皆様にお伝えし、募金という形で多額の支援をしていただています。
改めて町民の皆様に感謝申し上げますとともに、侵略が未だに続いていることを忘れず、更なる関心を持ち続けていただきますようお願い致します。
本日は、決算認定案16件、条例案3件、補正予算案3件、人事案11件、その他2件、計35件、の議案を上程しております。
個々の議案につきましてはそれぞれの時点でご説明させていただきますので、よろしくご審議の上、適正な決定を賜りますようお願い申し上げます。
上島町長 上村俊之