令和3年度 12月定例議会 町長行政報告
令和3年度 12月定例議会 町長行政報告
みなさん おはようございます。
今年の秋祭りは、新型コロナの影響で神事のみの地区が多く、太鼓の音が響きわたる日常を心待ちにしている町民も多いのではないでしょうか。
本日は令和3年第4回定例議会を招集いたしましたところ、全員の出席をいただき誠にありがとうございます。
9月定例議会後の行政活動内容や資料についての詳細は時間の関係上、上島町ホームページ内の町長活動報告に代えさせていただき、この場においては主な事項のみを報告させていただきます。
最初に、新型コロナについては謎多き中、第5波が急激に収束しようとしています。
もちろん、その要因の一つがワクチン接種ではありますが、上島町では第6波を抑える為にも、3回目のワクチン接種「ブースター」を計画しています。
3回目は今までの電話等での予約形式ではなく、上島町からの通知方式を検討していますが、国のワクチン供給計画が決まり次第、担当課から詳しくお知らせ致します。
また、政府分科会では新型コロナの行動制限緩和案が承認されるなどの動きがあるように、コロナ自粛反動で高まる「リベンジ消費」を上島町でも期待しています。
しかし、待っているだけの行政運営ではその効果は小さく、これからの消費に備えた支援策や観光客誘致などの積極的な活動が必要です。今後は上島町の経済回復に向けて、移住定住人口の増進はもちろん、交流人口の増加を視野に入れた新たな施策に取り組んでまいります。
さて、「株式会社いきなスポレク」の経営状況ですが、5年前までに内部留保していた運転資金が全てなくなっている事、黒字運営から赤字経営に陥り、上島町からの返済金支援を受けたものの、未だに30年返済の長期借入金が多額に残っている事、などで厳しい経営が続いている状況はすでにお伝えしました。
私達はこの8月に経営を受け継ぎましたが、職員の退職金が積み立てられていない、赤字にもかかわらずパート等の時間給を無計画に上げている、電力の契約を高い民間会社に変更しているなど、想定外の持ち出しや無駄な経費が使われている事などが新たに判明しました。
宿泊施設フェスパを除いたスポレク公園単体運営だけでも、単年度で1,000万円を超える赤字を発生させていた年があり、現在、それらの穴埋めや契約変更などに労力を費やすなど、新たなスタート地点に立てていないと言っても過言ではありません。
職員や役員一同、経費削減に努め売上を増やす努力をしておりますが、元の黒字経営に戻すまでには暫く時間がかかりそうです。現在、赤字は大幅に減少してきており、役員会においても収支の監査等も厳しく対応していますので、町民の皆様の引き続きのご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
フェスパの運営については、全国的なコロナの影響による旅行や外食などの自粛により、大変厳しい状況であるとの報告を受けておりますが、管理者は担当課と協議しながら日々努力しています。今後はコロナの収束により、観光客の増加が期待されますので、一日でも早く以前の活気が取り戻せるよう、町民の皆様もフェスパをぜひ利用していただき、引き続きご支援をお願いしたいと思っております。
10月4日には国土交通省離島振興課から課長をはじめ3名の方の視察を受け、上島町の資料や重要施策要望を元に、現状を説明いたしました。もちろん、魚島にも足を運んでいただき、小中学校や診療所、魚島丸などの重要性をお伝えしました。新型コロナの中、いち早く視察いただいたことに、上島町として期待と責任を感じた3日間でした。
次に「弓削島荘遺跡」が10月11日、正式に国史跡として決定したことはご案内の通りです。
ユネスコ「世界の記憶」に登録された「東寺百合文書」には、中世荘園である弓削島荘に関する記録が400通あまり遺されており、これらの記録を基に、7つの分野で構成された弓削島荘総合調査を実施し、国史跡に指定するよう文部科学大臣に意見具申していたものです。
令和4年度は、史跡保存活用計画策定委員会を設置し、史跡の保存・活用について協議するとともに、町内外に広く普及・啓発を行うための史跡指定記念シンポジウムを開催する予定です。
改めて、長年にわたりご協力いただいている関係者の皆様に、心から御礼を申し上げます。
10月20日には、東京において国土交通省港湾局長等への要望活動を実施し、上島町における漁港や漁場の整備の必要性及び水産業振興への支援について陳情を行いました。
現在、国が抱える課題の一つに地球温暖化に伴う海水温の上昇や栄養塩不足など海洋環境の変化による漁場変動が挙げられています。これは、上島町においても同様の課題であると認識しており、SDGsの17の目標の一つである「海の豊かさを守ろう」を実現させるため、かつ、持続可能な漁業生産を確保するため、水産環境整備事業を始めとする漁場保全と同時に環境変化に対応した対策が必要となってきています。今回の要望活動では、これら現状の課題や今後の方針を踏まえて上島町の水産振興の重要性をお伝えしてきました。
また、現在、国で策定している新たな漁港漁場整備長期計画を基にした各種事業にも乗り遅れる事がないような施策、広域的な水産環境整備の展開、養殖業の生産効率の向上、藻場等の創出や保全活動、海底耕運による底質環境の改善などに取り組んでいきたいと考えています。
10月26日、高松の四国地方整備局において局長や道路部長へ、町道の整備などの陳情を行いました。愛媛県の道路局などにも同行いただいたこともあり、予算化に向けて明るい見通しが立ちました。
その後、神戸三宮の本州四国連絡高速道路株式会社を訪問し、しまなみ海道とゆめしま海道の連携、上島町によるしまなみ海道のSA・PAの活用等についてなど、代表取締役をはじめ役員の皆様と協議した後、実務担当の職員の方々と具体的な話を進めました。今後は担当課により協議を進め上島町を世界に発信する施策に取り組んでまいります。
10月31日に開票があった衆議院議員総選挙では、上島町は愛媛県下で一番の投票率でした。国民の権利である投票権を行使し、明確な意思を示していただいた町民の皆さんはもちろん、選挙管理委員会をはじめ役場職員を含めた関係者の皆様に感謝を申し上げます。
11月6日には上島町内において、愛媛県自転車新文化推進協会によるサイクリング大会が開催されました。中村愛媛県知事をはじめ県庁関係者、県内各市町の首長、造船や金融、メディアなど経済界代表の方々が参加され、100台を超える自転車が、美しい景観を誇る上島町の島々を心地よく走り抜けました。
コース途中のエイドステーションでは、ボランティアスタッフとして弓削高校生が笑顔で対応してくれました。特に参加者が感激していたのは沿道からの温かい声援であり、上島町民の多くのおもてなしに、忘れられない思い出として刻まれたそうです。
11月12日、本年が創基120周年の記念すべき年である弓削商船高等専門学校において、国や県、高専関係者および各種企業の方を招いての記念式典が開催されました。明治、大正、昭和、平成、そして令和へと時代は移り変わりましたが、120年もの長きに渡り、日本全国のみならず世界各国で活躍する優れた人材を輩出されていることは上島町民の誇りです。
また、弓削商船高等専門学校と上島町は、長きにわたり連携を図っており、平成19年3月29日には、地域の振興・発展、教育研究の充実及び人材育成に寄与することを目的に、「上島町と弓削商船高等専門学校との連携協力に関する協定書」を締結しています。連絡協議会による意見交換をはじめ、町の様々な事業推進に最先端の技術によるご協力を賜っており、弓削商船高等専門学校は地域創生にとっても大変心強い存在であることは言うまでもありません。
11月17日には、東京において衆議院議員、参議院議員への令和4年度離島関係予算確保要望活動を離島振興対策協議会(離島関係都道府県)、全国離島振興協議会(離島関係市町村)の2団体で行いました。午後からは、離島振興法改正・延長実現要望活動を離島振興対策都道県議会議長会と全国離島振興市町村議会議長会を加えた4団体合同で、来たる令和5年3月末日をもって失効する現行「離島振興法」を抜本改正の上、必ず延長されるよう強く要望活動を行いました。
上島町としては、
一.上島町民にとって、愛媛県今治市~広島県尾道市を結ぶ、芸予汽船株式会社が運航する航路について離島航路として指定すること。
一.医療の多くを他県の医療機関へ依存している状況であり、県域を越えた広域的な救急医療体制の整備や医師及び看護師確保対策、通院費の助成など、離島医療の充実に支援すること。
一.離島における燃油類の格差是正については、平成23年度よりガソリン支援事業が創設されたが、上島町の基幹産業である漁業・農業用の燃油類についても格差是正のため、支援事業の拡充継続又は新たな制度を創設すること。
以上の3点を強く要望しております。
続いて、県立弓削高等学校の振興対策関連についてですが、10月12日に県立高校の再編計画に係る第4回地域協議会が開催され、第3回地域協議会でも、私から、上島町にとって弓削高校の存続がいかに重要であるかを強く訴えました。次回、12月20日開催予定の第5回地域協議会においても、弓削高校存続に向けて地域の熱い思いをしっかりと伝え、特例措置の継続を訴えて参ります。
その具体的な対応として、11月9日、令和3年度第1回愛媛県立弓削高等学校振興対策協議会を開催いたしました。現在、愛媛県において、令和5年度から始まる 次期「愛媛県県立学校振興計画」が検討されており、本年8月に計画の中間報告がなされたことから、委員全員で情報を共有し、今後の弓削高等学校の維持・発展のために、どのような取り組みをしていくか委員のご意見を伺い、今後の方向性の承認をいただきました。
また、11月24日には、愛媛県内県立高等学校の中でも、積極的に魅力化に取り組み、全国募集による入学生を多く確保するなど、先進的に高等学校振興に取り組んでいる、伊方町及び三崎高等学校を視察させていただきました。
三崎高校では、定員60人に対して、以前は再編整備基準にも満たず、分校化の危機がありました。しかし、全国募集・魅力化事業を始めてから、入学者がV字回復しており、その大きな要因として令和2年度に整備された定員40名の町営学生寮があげられます。
もちろん、町による寮の整備だけではなく、校長先生をはじめとする教職員の情熱と努力、公営塾によるフォロー、探究活動学習などによる高校生の地域振興への関わり、町民の理解と温かい支援など、参考となる多くの取り組みがありました。
在校生の皆さんとお話しする機会もありましたが、生徒の皆さんが素直で生き生きとした表情で学校生活を送られていることに感銘いたしました。
上島町としましてもこの視察を糧にし、弓削高等学校の存続に向けて新たな施策に取り組み、魅力あふれる弓削高等学校を再生するため全力で後押ししてまいりますので、議員の皆様、地域の皆様のご理解ご協力をお願いいたします。
12月1日には、海事産業全国市町村長の会で国への要望活動を行いました。造船振興は上島町にとって最も重要な施策ですので、現場の現状と課題をしっかり伝えてまいりました。
国の令和3年度補正予算案は、11月26日に閣議決定され、臨時国会に提出する見込みとなりますが、歳出総額は補正予算としては過去最大の約36兆円に上ります。今回の補正予算は、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済対策として、「新型コロナ感染症の拡大防止」「社会経済活動の再開」「新しい資本主義の起動」「防災・減災や国土強靭化」の四つの柱で構成されています。
その内、自治体に配分される地方創生臨時交付金については、6.8兆円の増額となり、飲食店への休業・時短要請に伴う協力金支払いのほか、自治体が地域の実情に応じて必要な事業に活用することができることから、既に上島町各課において今後の予算化に向け準備を進めています。
次に、上島町の令和4年度当初予算についてですが、11月1日に予算編成方針を職員に通知しました。
予算編成の基本的な考え方として、「入(い)るを図りて出(い)ずるを制す」の言葉のとおり、身の丈にあった町政運営を全職員が再認識し、選択と集中による実行性の高い取組を実施することとしております。
結びに、10月8日、9月の全日本実業団対抗選手権大会終了後、現役引退を表明された本町の名誉町民である村上幸史氏の表敬訪問を受けました。
現役時代に、競技を通じて我がふるさと上島町の名を国内外に広く高め、子どもたち、上島町民に感動を、そして希望と夢を与えて下さった村上幸史氏へ、上島町民を代表して心から敬意と感謝を表します。
今後も講演会やスポーツ教室を通してふるさとに関わっていただけるとの事ですので、希望の光が射してきたコロナ後の新たなステージへ、上島町も共に踏み出して行きたいと思っています。
本日は、条例案4件、補正予算6件、その他4件、計14件の議案を上程しております。
個々の議案につきましてはそれぞれの時点でご説明させていただきますので、よろしくご審議の上、適正な決定を賜りますようお願い申し上げます。
上島町長 上村俊之