令和3年度 9月定例議会 町長行政報告
令和3年度 9月定例議会 町長行政報告
みなさん おはようございます。
東京オリンピック・パラリンピックでの日本代表選手の活躍は、コロナの影響で沈みがちな私たちに、感動と夢・光を与えてくれました。
また、1年延期により、5年間もモチベーションを継続されてきたオリンピアンやパラリンピアンの精神を、上島町も参考にすべきだと感じました。
本日は令和3年第3回定例議会を招集いたしましたところ、全員の出席をいただき誠にありがとうございます。
6月定例議会後の行政活動内容について、主な事項のみを報告させていただきます。
最初に、上島町住民12歳以上のコロナワクチン接種については、9月6日の時点で1回目が88.9%、2回目が、87.3%の実施率となっています。
これは、愛媛県内20市町中トップの接種割合で、担当課と事前に計画していた、上島町の集団接種工程は8月8日に完了し、こちらも愛媛県下では最速の対応ができました。
この結果は、町民の皆様のご理解と、積極的なご協力をいただいた医療従事者を含む、エッセンシャルワーカー、上島町職員の休日を返上しての取り組みの賜物であり、改めて感謝を申し上げます。
2回のワクチン接種は、皆さんと家族を守るために効果的な対策ですが、100%完全ということではありません。接種後も「ブレークスルー感染」という事例がありますので、完全に終息するまで、上島町コロナ感染対策本部からの要請事項を守っていただきたいと思います。
また、愛媛県から上島町へ要請があった為、8月から1名の保健師を今治保健所へ派遣しています。これは、「感染症危機発生時等における職員の併任」という制度による支援であり、現在6名の保健師を登録し、派遣期間の延長や増員等緊急の要請にも即時対応出来るよう準備を整えています。
上島町の保健師さんは、慣れない場所で大変だと思いますが、困っている住民や自治体を助けるのが上島町役場の仕事ですので、上島町民の代表としてよろしくお願い致します。
コロナ感染については愛媛県でも第5波が猛威を振るい、8月18日には県内最多102名の陽性者が発生しています。
その影響は上島町のイベントや会議にも及び、マンダリンパイレーツ公式戦は開催できたものの、ふるさと夜市・盆踊り・愛媛県防災訓練等は中止、区長懇談会・成人式等は延期に追い込まれました。
特に、成人式は1月に続いての再延期ということになり、新成人の皆様はもとより、ご家族、関係者の皆様には、ご迷惑をおかけしています。上島町といたしましては、人生の節目となる大変貴重な機会であり、年末開催に向けて対応しているところでございますのでご理解をお願いします。
このコロナからの挑戦は、私達が次のステップに上がる為の試練であり、後世に評価される試金石とも言えます。
上島町は町民の皆様と共にコロナに打ち勝ち、活発な経済活動が復活するまで、全力を尽くさなければならないと考えておりますので、変わらぬご協力をよろしくお願い申し上げます。
懸案事項であった「株式会社いきなスポレク」の社長については、8月2日の臨時株主総会とその後の役員会において、上島町長である私が就任する事になりました。
社長就任後の経営会議において「株式会社いきなスポレク」経営の新たな方針を伝え、黒字に向けての集客増加と経費節減などを目標として確認しましたが、4年前に保有していた2,700万円の預金が無くなっている事も判明しました。
社内監査を受けていたにも関わらず、帳簿やその実施内容も不透明で杜撰な点が多くあるため、今後は新たな監査役の下で、町民の財産を守るための厳格な精査を実施してまいります。
また、コロナの影響により緊急事態宣言地域が拡大した事をはじめ、愛媛県が8月11日より「感染対策期」に移行、20日からは「蔓延防止等重点措置」に適用された事などから、合宿予約が軒並みキャンセルとなり、8月と9月だけでも11件、約520万円の収入がなくなるなど、運転資金にも大きな影響が出ています。
上島町からは令和2年3月と4月の、合計2,600万円の借り入れが残っている事もあり、経営を引き継いだ時点で厳しい状況ですので、以前の健全経営状況に戻すには数年の期間が必要である事は明白です。
今後、困難な経営が待ち受けていますが、上島町の財産でもあるこの施設を維持発展させることが社長の課題であり、その為には経営改革をはじめ全力を尽くしてまいりますので、町民及び議会の皆様方には今まで以上のご理解とご支援をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
さて、毎年7月、上島町の懸案事項を来年度の国の予算に反映させるため、8月末の国の予算の概算要求締め切りに合わせて、担当省庁や愛媛県選出国会議員に向けて実施している上島町重要施策の要望活動ですが、東京都の緊急事態宣言の再発令により直接実施できなかったことから、前田議長との連名により、郵送にて提出致しました。
その要望内容は、
(1)離島航路の指定緩和について
(2)離島医療の充実について
(3)離島における燃油等の格差是正について
(4)歴史文化遺産の調査や保存について
(5)島内道路における道路構造物整備について
(6)関係人口制度の確立について
(7)断水への備えに対しての支援について
(8)地方創生の実現に向けた実効性のある支援について
(9)水産業振興への支援について
(10)公営住宅の入居基準の緩和について
(11)上島架橋全線開通後のまちづくりについて
であり、特に今回は、「水産業振興への支援について」「公営住宅の入居基準の緩和について」「上島架橋全線開通後のまちづくりについて」など、上島町の特徴を生かした持続可能なまちづくりに関する事項を新たに加えています。
また、歴史文化遺産要望については、中世の荘園である「弓削島荘遺跡」を、国の文化審議会が国史跡に指定するよう文部科学大臣に答申し、秋には正式決定する方向になっています。
この場をお借りして、総合調査事業指導委員会で委員長を務められた松山大学の元教授山内先生をはじめ、長年にわたりご協力いただいている関係者の皆様に、心から御礼を申し上げます。
今後は、天皇陛下の皇太子時代におけるご講演の記録を取りまとめた、「水運史から世界の水へ」という書籍にも頻繁に記述されている上島町を、歴史や文化の面からも世界に発信していきたいと考えています。
続いて、上島町の財政状況ですが、地方公共団体の財政が健全かどうかを判断する4つの指標の中に、借金返済額の大きさと資金繰りの程度を示す「実質公債費比率」があります。
上島町の実質公債費比率は、元利償還金の減により単年度比率では0.4%減少しましたが、3ヵ年の平均値で表す令和2年度の比率は、12.9%となり、前年より0.6%の増加となりました。これは、令和元年度をピークに公債費の割合が高いことが要因ではありますが、早期健全化基準である25%は下回っています。
また、一般会計等が将来負担すべき実質的な負債が、標準財政規模に占める割合を示す「将来負担比率」については、44.9%となり、前年より0.7%の増加となりました。これは、地方債の現在高は減少したが、基金の残高も減少していること等が要因となります。ただ、こちらも早期健全化基準である350%を大きく下回っています。
これら、国の「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づき、健全化判断比率を算定したところ、上島町はいずれも悪い水準ではありませんが、今後も国の基準を下回るようしっかりと財政運営を行ってまいります。
尚、上島町個別施設計画の中にもある「今後見込まれる施設維持管理・更新にかかる費用」については、平成16年の4町村合併前に建設した建物の更新費用が総額の86%。対して上島町になって建設された建物の更新費用は14%の割合であり、この数字から合併後の建設計画が適切かつ効率的に推進されていることが分析できます。
次に、本町の一般会計歳入の約半分を占める地方交付税についてですが、8月3日に令和3年度の普通交付税と臨時財政対策債の発行可能額が総務大臣により決定され、それらを合わせた実質的な交付税は、約35億3,300万円と前年度と比較して約1億3,700万円(4.0%)の増となりました。その要因は基準財政需要額として、地域デジタル社会推進費が創設されたこと、基準財政収入額として、市町村民税の所得割・法人税割が減少したことなどが挙げられます。
昨年度に続き、2年連続で増加となりましたが、上島町は合併算定替による特例措置が令和元年度に終了し、算定基礎となる人口は減少傾向であることから、今後の推移には十分留意する必要があります。
上島町の財政運営においては、監査委員からの審査意見書にもあるように、赤字運営会計への検討が必要です。一例として、公共下水道会計に大きな赤字が出ているという問題が取り残されたままです。使用料改定については、以前に議会へ投げかけておりましたが、今後も懸案事項の一つとして取り組まなければなりません。
また、町内には数多くの航路がありますが、一つの航路のみが75歳以上無料である現状は上島町民にとって不公平であり、その価値観にも多くの町民から疑問の声が上がっています。更に、この政策により民業を圧迫していることも忘れてはなりません。今後は上島町交通ネットワーク協議会などにおいて、しっかりと協議していただきたいと思います。
改めて「入るを量りて出ずるを為す」ことを、上島町財政運営の基本とし、痛みを伴う改革を恐れず実行してまいります。
結びに、上島町民の長年の夢であった岩城橋は、来年の3月に開通式を迎え、この「ゆめしま海道」完成によって交通手段はもちろん様々な分野において大きな変化が起こります。
私は5年前の行政報告において、『上島町においては、この豊かで美しい景観を活かした交流の場を広げて行くことが、大きなビジョンの一つであると考えています。もちろん、地場産業を支え福祉や教育を充実させることは基本であることに変わりはありませんが、未来への展望も欠かせません。
夢を実現させ世界に認知してもらうには、「物語」(ストーリー)が重要です。幸いにも上島町には「物語」の要素である、魅力ある歴史や文化、風土や景観に満ち溢れています。
今後とも上島町民の皆様と、一貫性のある「物語」を描き続け、「世界に誇れる 品格あるふるさと」を創りあげなければならないと考えています。』と町民の皆さんにお伝えしています。
この瀬戸内の島々である上島町は世界に誇る景勝地であり、世界のサイクリストや観光客も注目しています。今後は上島町民の皆様と、岩城橋が加わった「ゆめしま海道」を軸とした町づくりを進めてまいりたいと思います。
本日は、決算認定16件、補正予算5件、その他4件、計25件の議案を上程しております。
個々の議案につきましてはそれぞれの時点でご説明させていただきますので、よろしくご審議の上、適正な決定を賜りますようお願い申し上げます。
上島町長 上村俊之