令和2年度 3月定例議会 町長行政報告
令和2年度 3月定例議会 町長行政報告
桃の節句を祝い、瀬戸内も春の訪れを実感する日々となりました。
本日は、令和3年第1回の定例議会を招集いたしましたところ、全員の出席をいただき誠にありがとうございます。
最初に、先月に発生した地震において被災された皆様方に、心からのお見舞いを申し上げます。
10年前の東日本大震災において大きな被害が発生した時には、上島町からも救急隊員や職員長期応援派遣等で支援協力させていただきました。その現場である宮城県山元町の給水現場をテレビニュースで拝見し、悔しい思いが込み上げてきたのは私だけではないと思います。
上島町として今後現地から要請があれば、「がんばろう東北」に再度加わりたいと考えています。
新型コロナウィルスについては、愛媛県内で5日連続感染者がゼロになるなど、対策の効果が出始めてまいりました。それに加えてワクチン接種が始まりましたので、少しでも早くコロナ禍が収束し、日常生活と経済活動が元に戻ることを願っています。
上島町といたしましても、感染防止対策を緩める事なく、今後の状況に応じて経済支援を含めた施策を講じてまいります。
このような状況の中で今私達ができることは、少しでも町内事業者を支えることだと思います。町内での会食やお買い物等、上島町の事業者を存続させる為のご協力を、町民の皆様よろしくお願い申し上げます。
さて、懸案の宿泊施設フェスパにつきましては、1月より公募を開始し、3社からの申し込みがありました。2月9日から24日までの期間、選定審議会委員の皆さんに書類及び直接面談審査をしていただき、先日結果報告を受けたところです。最終結論については今定例議会に議題として上程しております。
今回の募集条件として、2,600万円の指定管理料を提示していますが、これは前年度が3,800万円であった額を大幅に削減した予算であり、同年度には上島町から指定管理者へ別に2,600万円の長期無利子貸付を行なっているのを忘れてはなりません。
本来は、4年前のように指定管理料を0円とし、町民の皆様のお金は投入しない独立採算経営を行わなければなりません。しかし、3年前の経営者交代により、リピーターや売り上げが大幅に減少したため、公募者を確保するために止むを得ず指定管理料を条件提示しました。
もちろん、この指定管理料は上島町が何年も支払うのではなく、新たな経営者の企業努力により必要でなくなることを目標とし協定書を締結します。その後は以前のように家賃を払っていただくことを予定しています。
また、現在の指定管理者である株式会社いきなスポレクの社長や取締役については、現状維持で推移しています。
その理由は、株主総会の承認を受けていない金融機関からの借入金や監査委員の交代、あるいは法律違反に関わる問題等が解決していない為です。
決算の数字等においても疑問点が多い為、2月末に公認会計士を含めた「フェスパ検証委員会」を設置致しました。
今後は過去3年間の経費等を精査することで、問題点を明らかにし、健全経営の参考にしたいと考えています。
次に、生名公営渡船の因島側車両待機レーンについてですが、未だに全ての土地の売買契約がなされていない状況に驚きました。この2月末に売買条件が整いましたので、早い段階で契約を交わし整備を進めてまいります。ただ、解体や移転等に大幅な時間が必要ですので、来年3月末には間に合わない可能性があることもご理解いただきたいと思います。
来年度の大きな話題として岩城橋開通がありますが、弓削商船創基120周年という輝かしい歴史を刻む年にもなります。10月と11月には記念式典や記念行事が開催されますので、上島町民がこぞって参加することで、弓削商船高等専門学校の実績を讃え、益々の発展をお祝いしようではありませんか。
さて、3月定例議会の第1号議案として、上島町行政組織条例を上程しています。これは現在の課制度を部に再編することで行財政改革を図ることが目的です。この再編により、決裁権限を職員に大きく委ねることで仕事を効率化し、町民の要望に素早く応えることができます。内部の行政運営についても職員が責任と自主性を持って進めるようになり、町民に寄り添った暖かな行政運営を目指してまいります。もちろん、管理職の総数を減らすことで経費節減を行うことは言うまでもありません。
次に、補正予算と来年度の予算を上程していますので、概略の報告を致します。
国の令和3年度一般会計の総額は、106兆6,097億円で、前年度に比べ3兆9,517億円、3.8%増となり、過去最高を更新、3年連続で100兆円を超えています。新型コロナウイルスの影響により、地方税収が大きく落ち込む中、地方交付税の総額は、前年度を0.9兆円上回る額が確保されています。
しかし、上島町の財政は改めて内側から精査しても厳しく、来年度予算編成時に、私の公約でもある財政健全化に向けて、財源の確保や徹底した事業の見直しを進めました。
その結果、上島町の一般会計当初予算の総額は64億3,600万円で、4年ぶりに70億円を下回ることができました。一般会計と特別会計・企業会計を含めた町全体の総額では前年度と比較して7億406万円の減になります。基金からの一般会計への繰入金についても対前年度比4億6,268万円、36.6%の減とし、大幅に削減することができました。歳出については、人件費、公債費等を合わせた義務的経費を対前年比1億1,265万円減とし、財政の自由度と弾力性の改善に努めています。
来年度予算の特色の一つは、交通弱者への支援として、町有バス運行用小型車両を整備することです。岩城橋開通に伴い、町有バスの岩城地区への路線延長と共に、各支線について住民の利便性が向上するような運用を計画しています。具体的には公共交通ネットワーク審議会で協議を行い、町民の皆様の意見を反映させて参ります。
移住・定住についても、しまおこし協力隊やNPOと連携し、移住ポータルサイトの運営や空きやバンクの充実により、重点項目施策として取り組んでまいります。
教育環境の整備と支援については、小中学校活性化補助金を復活させることで、各学校において特色ある学校づくりと活性化を図ります。更に、GIGAスクール構想への支援、指導主事の増員等、教育への重点支援に取り組みます。
また、危機管理や災害対応として、災害情報伝達システムを更新し、高規格救急車を整備すること等により安全・安心なまちづくりに努めてまいります。
このように、行財政改革と新規施策を着実に進めてまいりますが、今後も新たな財源の確保、事業の見直し、公共施設の統廃合などを着実に実行しなければならないと考えていますので、町民の皆様のご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
上島町長 上村俊之